草木染めを休むこと

2016年2月に、それまで作っていた草木染めのシリーズを見直しました。 そのときに書いた文章です。

ぜひお読みください。


ルグがルグらしくあるために、メインプロダクトとも言える草木染めシリーズを、 縮小することにしました。理由は、草木染めがたくさんの水を使うからです。


バリ島は、乱開発による深刻な地下水の枯渇が進んでいます。 我が家も8年前に掘った9mの井戸がついに枯れ、昨年暮れに2m掘り下げました。 はじめは、単に乾季が長引いたからで、雨季になって雨が降り始めれば大丈夫だと思っていましたが、その後、15年で5mの割合で地下水の水面が下がり続けているという2007年の調査結果を読み、私が思っていたよりも深刻かつ長期的な問題であったことが、今更ながら身に沁みてわかりました。


そこで改めて、染め工場側に染めで使う水の量やその水源について確認しました。 残念ながら「それなら大丈夫ね!」と思える回答はありませんでした。 バリ島全体で文字通り「水面下」で問題が進んでいる現状に、個人はもちろん、自治体レベルでも企業レベルでも、なんらかの対策を講じているところは皆無に等しい状態なのです。

これを知ってしまったからには、ルグはいままでのように水を使うことはできません。 雨水利用などの解決策もありそうですが、ルグはそれをすぐに実現するための体力、気力、財力が足りません。ですので、当座は草木染め商品の数を減らすことで負担を減らし、将来ルグが軌道に乗って力がついたら、実際の解決策に取り組みたいと考えています。

具体的には、現在制作中のものを含め卸販売、ネット販売と合わせて在庫がなくなり次第、 ピンクベージュ、ブラウン、インディゴの3色を終了いたします。ダークピンクとペールグリーンは数を調整しつつ続行します。(ダークピンクのブラウンの紐はダークピンクに変更いたします。) 同時にそれを補うためにプリントなどのその他のラインナップを充実させつつ、ご家庭などでご自身で染めていただくための商品の一般販売や、日本国内の草木染め作家さん達との連携なども、模索していきたいと思います。

ルグの草木染めの商品はどの組み合わせでも可愛くて、お客様それぞれのご注文商品を袋に梱包していても、その度に「ああ、このセットも可愛いなぁ」とひとりニヤニヤしながら作業しています。あの気持ちを味わえなくなるのかと思うと、本当に本当に残念です。 でも、何かをごまかしたり罪悪感を感じながら作った商品では、愛情を込めるどころか商品にもお客様にも失礼だな、と思うのです。


 

ルグはただただ、ルグらしくいたいのです。

 

 

こんなふうに相変わらず不器用なルグでございますが、これからもよろしくお願い致します。

2016年2月2日