デザインについて思うこと

以下、ルグ・オリジナルの「ゆるり*ブラ」のデザインにまつわり、店主が思うことです。

2014年3月に発売したねじって着る「ゆるり*ブラ」は、本当に多くの方からデザインと発想のユニークさ、そして何よりも使い心地の良さにお褒めの言葉を頂いております。 同じく多くの方から、「特許とか取った方が良いよ」というアドバイスも頂きます。 応援(心配?)してくださる皆様の気持ち、本当にありがたいです。

なので、ここで特許について思うことの話です。


ルグはゆるり*ブラの特許や実用新案等の申請はしないでいこうと思っています。

特許を取得していれば、他の人が私のアイデアで儲けようとしたら、それはするな、と法的に主張できるようです。けれど、そのためには、どこかで誰かが私のアイデアを「盗んでいる」のではないか、と目を光らせていなければいけません。そして、見つけたら追い込み潰す。そんなネガティブなエネルギーは私にもルグにも要らないな、と思うのです。

 


のんびりしている隙に別の人が特許申請してしまったら、ルグがゆるり*ブラを作れなくなることもあるよ、とも言われました。それは困ります!けれど、特許自体がそんな「先に取った者勝ち」の制度ならば、ますます頼りにはしたくない気もします。

バリの伝統音楽であるガムランは昔、新しい曲が出てそれが流行ると、その曲の一部が他の曲に使われる、ということがよくあったそうです。これは「盗む」ということではなく、あまりに素晴らしいので自分の曲にも取り入れました、という、もとの作曲家に対する敬意の意味だったそうです。

私も、作曲家への敬意と同じとまでは言わなくても、相手がオリジナルを尊重する気持ちを感じることが出来れば、 ゆるり*ブラのアイデアが手元を離れて広がっていくのも幸せだ、と思いたい。


とは言ってもやっぱり、ルグのアイデアで他の人が成功したりしたら、面白くないなぁ、と思ってしまう自分も十分想像出来ます。だから同時に、世の中の、ものを作ったりデザインしたりする人達の、「アイデア/デザインのオリジナリティ」ということに対する意識と、彼らの自分の仕事に対するプライドや他人の仕事に対する配慮に期待していたりもします。


こんなジレンマを抱えつつ、悟りの世界もまだ遠いルグではありますが、引き続き応援(心配) していただけたら、それほど嬉しいことはありません。

これからもルグと未熟な店主をよろしくお願いいたします。

 

2014年9月9日 満月    ルグ店主 紗久間あや


ブラのアイデアを思いついたときのことも、「 ブラとひらめきのこと」に書いています。 合わせてお読みいただけたら嬉しいです。